グリム童話『青髭』を元に創られる
童話と現代が重なるダークメルヘン劇。
青髭公の城にやってきた盲目の少女ユディット。
「見ること」「見えないこと」「見過ぎてしまったこと」
「見てはいけないこと」「見せてくれないこと」
「見たくないこと」「見せられてしまうこと」
『見る』をテーマに演劇の魔法を
ふんだんに織り交ぜて劇は展開する。
この日、“倉庫”は“劇場”となり、
“劇場”は“青髭公の城”となり、
“青髭公の城”は私たちのよく知る“日本”となる。
劇場は遊園地であり迷路でもある限りない想像力が生み出される場だ。
私は1972年大須で七ツ寺共同スタジオを創めた。その開かれた空間では、新しい表現を求める人々のさまざまな出会いがあった。劇場は遊園地であり迷路でもある限りない想像力が生み出される場だ。体現帝国の渡部君が劇場を創めた。自前の空間ではロングランができるのが強味だ。新たなる想像力が羽ばたく場になるのが楽しみだ。渡部ガンバレ!!
寺山修司の撒いた青い種が今、名古屋の一角で禍々しい芽を吹いた────
全てが劇団員の手作りというこの絶対的空間において、客席と舞台の境界はいともたやすく侵略される。暗闇に明滅するマッチ。手探りで芝居を観る客。随所に寺山の影響を察知するのは、主宰の渡部剛己氏がかつて天井桟敷の後継劇団・万有引力に所属し、アングラ演劇の薫陶を大いに受けたからだという。だが我々は気が付く。ここで始まるのは只の昭和の懐古ではない。次世代への雄弁性を果敢に問う、尖鋭的 で、悠揚自在な挑戦であることに。 東京や大阪といった演劇中心地の狭間だからこそ、この文化的アジトは無二の輝きを放つ。新たに屹立した前衛の牙城に、今こそ乗り込む時が来た。
街と劇場が相互に発展していく未来に思いを馳せています。
去年の1月に体現帝国が来て、私たちの内田橋商店街が全国的にも珍しい“芸術を発信する商店街”になると大変嬉しかったことを覚えています。その後、体現帝国館へ足を運ぶ度にそこで繰り広げられる世界に終始釘付けになりました。公演日以外にも日々の準備や作業でスタッフの方々には商店街に足を運んでいただいており劇場が立ち上がっていく過程を嬉しく思っています。今回の本公演をキッカケに今まで以上に街と劇場が相互に発展していく未来に思いを馳せています。